2025/09/03 09:39
『無題 210516』—静寂に宿る瞬間の呼吸
2021年のある朝。窓から差し込むやわらかな光を背に、私は小さな水彩紙のかけらに向かい合いました。
アクリル絵具をほんの一滴ずつのせながら、筆先が紙の上を滑るたびに、色と形は言葉を持たないまま語り合います。
青と橙、黄が交差し、白い余白がそっと呼吸をする。『無題 210516』は、そんな即興性と静かな祈りが結晶したドローイングです。
制作過程では、素材にも思いを巡らせました。
高級水彩紙を再利用することで、時間と偶然が折り重なった紙の質感を生かしつつ、環境への配慮を込めています。
紙の端に残る微かなインク染みや、繊維の凹凸が、偶然の痕跡として作品に深みを与えています。
作品のサイズは136×149ミリと小ぶりですが、その中に広がる色彩の世界は豊かに感じられます。
壁に掛ければ部屋の片隅に小さな森のような佇まいを作り、机の上に飾れば視線を誘い、日常の中にふっと立ち止まる瞬間をもたらしてくれるでしょう。ぼんやりと眺めるだけで、見えなかった風景や過去の記憶が呼び覚まされるかもしれません。
『無題 210516』は一点ものです。作者の筆跡と身体感覚が紙に刻まれた、この瞬間の「在り方」をまるごと受け取ってほしいと思っています。
遠くのギャラリーでは得られない、ただ一枚のドローイングが持つ物語を、ぜひ手に取るように味わってみてください。
小さなドローイングだからこそ、その親密さを大切に。あなたの日々に、そっと寄り添う色のかけらとなることを願って。
『無題 210516』の世界を、MANO ART SHOPのブログページでさらに深くご覧ください。
作品との出会いが、あなたの暮らしに新しい風景をもたらしますように。
もし気になる点やご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。
秋の気配が漂ういま、この小さな呼吸をあなたの空間に迎え入れてみませんか?
